企業の目的に気づく


 私は、会社を創業して一年たって、大変なことを始めてしまったということに気がつきました。


私たち創業メンバー8名は、自分たちの技術が世に認められるかどうか試してみたいと考え、会社を始めたのですが、最初に採用した若い人たちは、自分の一生を会社に託そうと思っていたのです。このギャップは、従業員にとって不幸な将来を招くことが予想されました。


そのため私は、「会社とは何か」ということについて、真剣に考えさせられました。会社を通じて人生に夢を描いている人たちの期待を絶対に裏切るわけにはいきません。そのとき以来私は、経営の基本を、自分の技術の試行ということから、「全従業員の物心両面の幸福の追求」と、「人類社会の進歩発展への貢献」に変えたのです。


つまり、会社で働く全員、またその家族を含めた人たちの生活を守り、幸せな人生を送ってもらうことをまずは経営の柱とし、そしてこれに留まらず、私たちの技術を持って科学技術の進歩に貢献し、また利益の一部を税金として納めることで、公共の福祉等に貢献し、人類の進歩の一助となることを目的としたわけです。


これ以外に、企業の目的はないと、私は思っています。



上記の言葉は

京セラ、KDDIの設立者であり

経営破綻したJALを2年で再生させた

経営の神様と呼ばれた稲盛和夫氏の言葉です。



私は稲盛氏が多くの著書で伝えているように

人生や会社の未来は

考え方や人生観、在り方、哲学で

決まるのではないかと思い至りました。



これから毎日、稲盛氏のことば(哲学)を

自分自身のために、そしてコンパスの未来のために

全社員と共有したいと思い、ここに掲載することにします。


社員の皆さんも毎朝始業前に、このことば(哲学)を読み

繰り返し腑に落とし、自分自身の生き方としていってほしいと思います。


代表取締役社長 板橋満彦




出典

『心を高める、経営を伸ばす』

―素晴らしい人生をおくるために― 

稲盛和夫著  発行元PHP研究所