昭和40年ごろ、私は松下幸之助さんの「ダム式経営」について講演を聴く機会がありました。ダムを作ってそこに一定の水が蓄えられるような、余裕
のある経営をやるべきだということを話されました。
すると一人の人が、「私もダム式経営に感銘を受ける。しかし、今余裕がないのをどうすればいいのか、それを教えてほしい」と質問をしました。
松下さんは、「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけれども、余裕がなけりゃいかんと思わないけませんな」と答えられました。そうすると「全然答えになっていない」とみんなが失笑するのです。しかし、私は強烈な印象を受けたのです。
つまり、松下さんは、「まず思わなかったら、そうはならない」ということを言われたのです。理想に対して、「そうは思うが、現実には難しい」という気持ちが心の中にあっては、ものごとの成就が妨げられると言われたのです。
人は自分が信じてはいないことに、努力できるはずがありません。強烈な願望を描き、心からその願望を描くことが、困難な状況を打開し、ものごとを
成就させるのです。
上記の言葉は
京セラ、KDDIの設立者であり
経営破綻したJALを2年で再生させた
経営の神様と呼ばれた稲盛和夫氏の言葉です。
私は稲盛氏が多くの著書で伝えているように
人生や会社の未来は
考え方や人生観、在り方、哲学で
決まるのではないかと思い至りました。
これから毎日、稲盛氏のことば(哲学)を
自分自身のために、そしてコンパスの未来のために
全社員と共有したいと思い、ここに掲載することにします。
社員の皆さんも毎朝始業前に、このことば(哲学)を読み
繰り返し腑に落とし、自分自身の生き方としていってほしいと思います。
代表取締役社長 板橋満彦
出典
『心を高める、経営を伸ばす』
―素晴らしい人生をおくるために―
稲盛和夫著 発行元PHP研究所