今でこそ私は、「心で思った通りに現象は現れる」と信じているのですが、社会人となったころは、やることなすことうまくいかず、とてもそのようには考えられませんでした。
しかし、そんな苦しい中でも、私は明るさと希望だけは失いませんでした。これが今日の私をつくったと思います。
そのころ私は、床が抜けそうなオンボロの寮の二階に住んでいました。畳の表もなく、わらがぼうぼうとむき出しの六畳間でした。そこに七輪と鍋を持って来て、毎日自分で炊事をしていました。
会社での研究も、人間関係もうまくいかず、日が暮れると、寮の裏の桜並木が続く小川へ一人で出かけていきました。そして小川のほとりに腰かけて、唱歌の「ふるさと」をよく歌ったものでした。心の傷みが積もり積もって、どうにもならなかったのです。私は思いきり歌うことで、自分を元気づけていたのです。そして気分を一新して、次の日にはまた会社へ出かけて懸命に働きました。
悩みは、いつでも、誰にでも、どこにでもあります。しかし、そういう状況の中でも、気分転換を図り、明日への希望と明るさだけは失わないようにしなければなりません。
上記の言葉は
京セラ、KDDIの設立者であり
経営破綻したJALを2年で再生させた
経営の神様と呼ばれた稲盛和夫氏の言葉です。
私は稲盛氏が多くの著書で伝えているように
人生や会社の未来は
考え方や人生観、在り方、哲学で
決まるのではないかと思い至りました。
これから毎日、稲盛氏のことば(哲学)を
自分自身のために、そしてコンパスの未来のために
全社員と共有したいと思い、ここに掲載することにします。
社員の皆さんも毎朝始業前に、このことば(哲学)を読み
繰り返し腑に落とし、自分自身の生き方としていってほしいと思います。
代表取締役社長 板橋満彦
出典
『心を高める、経営を伸ばす』
―素晴らしい人生をおくるために―
稲盛和夫著 発行元PHP研究所