ベクトルをそろえる



 人間は、個として生まれ、自由に生きているのですから、いろいろな発想をする人があってもいいと思います。組織においても、各人が全く自由な発想のもとに行動し、それでいて調和が取れているというのが、最高の姿だと思います。


しかし、私の経験からすれば、これは理想であって、実際のところは力がそろわず、決してうまくいくことはありません。歴史を見ても、勝手な連中が集まって長く栄えた集団はありません。


集団を構成する、個々の人々の志向が一致していないと、力が分散してしまい、大きな力を発揮し続けることができないからです。そのため、常に集団のベクトルを揃えておく必要があるのです。


ベクトルをそろえるとは、考え方を共有していこうということです。人間として考え行動していくための、最もベーシックな哲学をともにし、それを座標軸に、各人が持てる個性を存分に発揮していこうということなのです。


同好サークルならば、自由な発想と個性の発揮だけでいいでしょう。しかし、目的を持った集団(会社)であれば、価値観を共有してはじめて、達成への永続的、集中的な取り組みが可能となるのです。



上記の言葉は

京セラ、KDDIの設立者であり

経営破綻したJALを2年で再生させた

経営の神様と呼ばれた稲盛和夫氏の言葉です。



私は稲盛氏が多くの著書で伝えているように

人生や会社の未来は

考え方や人生観、在り方、哲学で

決まるのではないかと思い至りました。



これから毎日、稲盛氏のことば(哲学)を

自分自身のために、そしてコンパスの未来のために

全社員と共有したいと思い、ここに掲載することにします。


社員の皆さんも毎朝始業前に、このことば(哲学)を読み

繰り返し腑に落とし、自分自身の生き方としていってほしいと思います。


代表取締役社長 板橋満彦




出典

『心を高める、経営を伸ばす』

―素晴らしい人生をおくるために― 

稲盛和夫著  発行元PHP研究所